ITコーディネータと言う資格について その22

皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。

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ブログの第237回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。

これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。

 

【IT経営とは?】

ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。

 

前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。

 

経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)

URL:

https://www.it-keiei.go.jp/index.html

 

IT経営とは何か?

経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。

IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。

このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。

 

IT経営について

IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。

 ・7つの機能と20の行動指針
 ・IT経営力指標と4つのステージ
 ・IT経営協議会とIT経営憲章
 ・IT経営ロードマップ
 ・各種報告書

 

・IT経営協議会とIT経営憲章

【経緯】

平成19年11月より、民間企業においてITを活用した業務改革に取り組んでいるCIOおよび有識者が集い、IT経営に関する事例を検討する場として、「CIO戦略フォーラム」が開催されました。

このCIO戦略フォーラムは、現在も継続中です。

そして平成19年度に、このフォーラムの中で、「IT経営憲章」および「IT経営ロードマップ」の検討を実施しています。

また、平成20年度には、CIO戦略フォーラムで明らかになった課題を検討するために、ワーキンググループ(WG)を実施しています。

 

【IT経営協議会とは】

平成20年6月に、国内大手企業のCEO、CIO、有識者および経済産業大臣が一同に会し、わが国のIT経営のあり方について議論する、「IT経営協議会」が開催され、「IT経営憲章」が採択されました。

 

【IT経営憲章とは】

IT経営に熱心な企業経営者が参画する「IT経営協議会」にて、経営者がIT経営を実践する為に取り組む10の原則として、採択されたものです。

 

IT経営憲章

【前文】

グローバル経済の急速な成長と国境を越えた取引関係及び分業関係の急速な深化などにより、日本企業を取り巻く経営環境は大きく変化し、その不確実性・複雑性が増している。

予測困難かつ急激な経営環境の変化にも柔軟に即応しながら、競争力を強化し続けるためには、国内外の経営資源を最大限に活用しつつ、企業改革や業務改革に絶えず取り組み続けることが必要である。

 

競争力強化のために経営者が必要としているものは適時・的確な「情報」であり、「情報」を最大限に活かす「人材」と「業務のしくみ」である。

そして、ITは、情報の量と質(正確性、即時性、利便性、安全性等)を飛躍的に向上させる道具である。

今日、ITへの期待は、自動化・合理化・効率化といった従来の範疇を超えて、企業自身の競争優位の獲得へと幅を広げつつある。

 

我が国IT活用の現状を見ると、現場の作業を効率化するためのIT活用は優れているものの、「部門の壁」、「企業の壁」、「地域・国境の壁」を超えた構造改革を伴うIT活用については十分に行われているとは言い難い。

世界の卓越した企業は、経済のグローバル化を背景に、ITを効果的に活用しながら、国境を越えたバリューチェーンの再構築に次々と先手を打ちつつある。

こうした状況にありながら、我が国企業の多くが、経営からの方向付けを十分に得られないまま、目的の不明確なIT投資を続けているとすれば、これは憂慮すべき事態である。

 

このため、IT経営協議会はその発足に当たり、以下に掲げる憲章に基づき、経営者自身による主体的なIT戦略の方向付けを含め、あるべき我が国企業のIT投資の改善活動を主導するとともに、CIOをはじめとする人材育成、「企業の壁」などを超えた標準化の推進など、ITを駆使した我が国産業競争力の強化に積極的に取り組んでいくことを宣言する。

 

【IT経営憲章】

~ITを我が国の競争力の糧とするための10原則~

経営者は、グローバル化する経済の中で、国際競争力を獲得し、社会に有用な価値を提供し続けるために、次の10原則に基づき、ITを駆使した企業経営を実践する。

1.【経営とITの融合】
経営者は、自らの経営判断に基づき、企業改革や業務改革の道具として常にITを戦略的に活用する可能性を探求する。

2.【改革のリード】
経営者は、企業改革にITにおける技術革新の成果を生かし、日々の細かな改善を含め、中長期にわたり、取組みをリードする。

3.【優先順位の明確化】
経営者は、取り組むべき企業改革や業務改革の内容を明らかにして、その実現に向けたIT投資の優先順位を常に明確に現場に示す。

4.【見える化】
経営者は、ITを活用し、競争優位の獲得に必要な情報や業務を可視化し、かつステークホルダーへの情報開示や透明性の確保に取り組む。

5.【共有化】
経営者は、「見える化」した情報や業務を「共有化」し、企業内での部門を超えた業務間連携、業種・業態・規模を超えた企業間連携を促す情報基盤構築やバリューチェーンの最適化に取り組む。

6.【柔軟化】
経営者は、ITを活用し、個々の企業の枠にとらわれず、業務やシステムの組み替えや、必要な情報を迅速かつ最適に活用できる事業構造への転換に取り組み、経営環境の急速な変化に柔軟に対応する。

7.【CIOと高度人材の育成】
経営者は、最適なIT投資・IT活用を実現するために、CIOを任命し、ともに企業改革や業務改革に取り組む。また、産学官、ユーザー・ベンダの垣根を越えて、ITを駆使した企業改革を推進できる高度人材の育成・交流を推進する。

8.【リスク管理】
経営者は、IT活用がもたらすリスクと、問題が発生した際のステークホルダーや社会に及ぼす影響を正しく認識し、その管理を徹底する。

9.【環境への配慮】
経営者は、環境に対する企業責任を認識し、IT活用によるエネルギー効率向上や省資源化に取り組む。

10.【国内企業全体の底上げ】
経営者は、IT投資から最大限の効果を引き出すためにも、中小企業等企業規模や業種の如何を問わず、企業の枠を超えて我が国企業全体のIT経営の改善・普及に取り組む。

 

前文で述べられている事は、IT(情報技術)の進歩は飛躍的に進んでいるのに、それを使う側の意識が、30~40年も前の作業の機械化と言う域を出ていない事を表しています。

本来経営を支援するはずのITが、急速に大きく変化する環境のスピードに即応できず、経営戦略の足を引っ張るお荷物に成り下がっている状況があります。

憲章に書かれている10の原則は、真にもっともな事なのですが、中小企業がこれを実現して行く事は、そう簡単ではありません。

経営者の意識改革を促す事を含めて、10原則を実現する支援をして行く事は、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。

 

これで、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営協議会とIT経営憲章の説明は、終了します。

次回のこのシーズからは、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップを説明して行きます。

この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。

 

最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。

 

皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。

 

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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
 Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
 Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
 Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)

 

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