ITコーディネータと言う資格について その17

皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。

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ブログの第230回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。

これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。

 

【IT経営とは?】

ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。

 

前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。

 

経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)

URL:

https://www.it-keiei.go.jp/index.html

 

IT経営とは何か?

経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。

IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。

このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。

 

IT経営について

IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。

 ・7つの機能と20の行動指針
 ・IT経営力指標と4つのステージ
 ・IT経営協議会とIT経営憲章
 ・IT経営ロードマップ
 ・各種報告書

 

・IT経営力指標と4つのステージ

経済産業省では、経営者が取り組むべき事項をまとめた「ITの戦略的導入のための行動指針」をベースに、その達成度合いを4つのステージに分け、「IT経営力指標」として企業のIT活用度合いを客観的に測るための指標を作成しました。

7つの機能を評価軸として、ITの活用度合いを4つのステージに分けています。

自社がどのステージにいるのか、客観的に把握することができます。

 

以前説明した7つの機能は、以下の通りです。

 Ⅰ.経営戦略とIT戦略の融合
 Ⅱ.現状の可視化による業務改革の推進とITの活用による新ビジネスモデルの創出、ビジネス領域の拡大
 Ⅲ.標準化された安定的なIT基盤の構築
 Ⅳ.ITマネジメント体制の確立
 Ⅴ.IT投資評価の仕組みと実践
 Ⅵ.IT活用に関する人材の育成
 Ⅶ.ITに起因するリスクへの対応

 

IT経営の達成度合いにより、以下の4つのステージに判定されます。

 ・第1ステージ:IT不良資産化企業群
 ・第2ステージ:部門内最適化企業群
 ・第3ステージ:組織全体最適化企業群
 ・第4ステージ:起業・産業横断的企業群

 

ITの活用度合いを測る上では、次の2つの観点から見て行く事が必要です。

 1. 段階的指標
   (活用の巧拙によって、達成度合いが変わってくる事項)

 2. 基礎的事項
   (活用の巧拙いかんを問わず、ITを導入する上で必要となる基礎的な事項)

 

Ⅲ.標準化された安定的なIT基盤の構築

・段階的指標

 

第1ステージ

 ・自社のシステム構成を理解していない

 

詳細には、以下の状態を指します。

◆自社のシステム構成をよく理解していない。

◆全社横断的なシステム基盤の構築ポリシーが作成されていない。
 あるいは作成されていても遵守がなされていない。

◆社内の利害調整を行うことができず、システム基盤の標準化が行われていない。

 

第2ステージ

 ・システム基盤がアプリケーションごとにバラバラに構築

 

詳細には、以下の状態を指します。

◆個別のアプリケーションごとに、ネットワーク、サーバー、ストレージ、ミドルウェア、データベース、認証フレームワークなど(以下、システム基盤)を構築している。

◆全社横断的なシステム基盤の構築ポリシーが作成されていない。
 あるいは作成されていても遵守がなされていない。

◆社内の利害調整を行うことができず、システム基盤の標準化が行われていない。

 

第3ステージ

 ・全社的にシステム基盤の標準化が行われている

 

詳細には、以下の状態を指します。

◆エンタープライズ・アーキテクチャの概念を導入し、経営資産のポートフォリオを分析し、業務プロセスの標準化を推進している。
◆自社内に多数存在するアプリケーションに共通して求められる、システム基盤の要件を抽出し、集中、統合化すべきコンポーネントを見極め、共通的なシステム基盤として標準化を実施することで、開発・運用の生産性を向上させ、堅牢で安価なシステム基盤を構築するとともに、ビジネス環境の変化にも容易に対応できている。

◆全社横断的なシステム基盤の構築ポリシーを定め、システム基盤の中で共通化すべき部分と差別化すべき部分を明確にしている。

◆全社横断的な統制管理組織を編成するなど、設計思想・ポリシーに沿ったIT基盤の構築を行うために、社内の利害調整を行い、全社的な観点からのIT投資計画の推進が行われている。
 安定化を図ることで、ビジネス環境の変化に安定的に柔軟に対応可能となっている。

 

第4ステージ

 ・連携企業間、産業間での共通インフラ基盤を構築している

 

詳細には、以下の状態を指します。

◆エンタープライズ・アーキテクチャの概念を導入し、経営資産のポートフォリオを分析し、業務プロセスの標準化を推進している。
◆企業間、産業内で共通化、標準化されたシステム基盤を導入し、開発・運用の生産性を向上させ、堅牢で安価なシステム基盤を構築し、ビジネス環境の変化にも容易に対応可能となっている。

◆企業間、あるいは産業内でのシステム基盤の構築ポリシーが作成され、企業横断的、産業横断的システムの構築にあたっては構築ポリシーが遵守されている。

◆企業横断的に統制管理組織を編成してIT構造(アーキテクチャ)の安定化を図ることで、取引先も含めて、ビジネス環境の変化に安定的に柔軟に対応できる。

 

・基礎的事項

 ・導入済みのシステムを定期的に棚卸しし、利用状況やトータルコストを把握し、ソフトウェア資産としての価値を評価する。

 

詳細には、以下の状態を指します。

◆自社の経営資産と経営環境を把握し、将来を見越した情報化モデルを構築する。

◆導入済みのシステムを定期的に棚卸しし、利用状況やトータルコストを把握し、ソフトウェア資産としての価値を評価する。

 

狭義のインフラ部分は、比較的取り組み易いように思えて、当初ステージを上げて行く切っ掛けとして、ここから手を付ける企業も多いようです。

しかし、ITの進化は非常に速いので、将来を見越すのは、そう簡単ではなく、エンタープライズ・アーキテクチャの全体最適となると難易度はぐっと増します。

ここでも、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータの支援は重要になってきます。

 

少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルについて、IT経営力指標と4つのステージの説明の途中で、終了します。

この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。

 

最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。

次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。

 

皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。

 

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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
 Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
 Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
 Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)

 

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