皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。
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ブログの第233回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。
これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)
URL:
https://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは何か?
経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
IT経営について
IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
・IT経営力指標と4つのステージ
経済産業省では、経営者が取り組むべき事項をまとめた「ITの戦略的導入のための行動指針」をベースに、その達成度合いを4つのステージに分け、「IT経営力指標」として企業のIT活用度合いを客観的に測るための指標を作成しました。
7つの機能を評価軸として、ITの活用度合いを4つのステージに分けています。
自社がどのステージにいるのか、客観的に把握することができます。
以前説明した7つの機能は、以下の通りです。
Ⅰ.経営戦略とIT戦略の融合
Ⅱ.現状の可視化による業務改革の推進とITの活用による新ビジネスモデルの創出、ビジネス領域の拡大
Ⅲ.標準化された安定的なIT基盤の構築
Ⅳ.ITマネジメント体制の確立
Ⅴ.IT投資評価の仕組みと実践
Ⅵ.IT活用に関する人材の育成
Ⅶ.ITに起因するリスクへの対応
IT経営の達成度合いにより、以下の4つのステージに判定されます。
・第1ステージ:IT不良資産化企業群
・第2ステージ:部門内最適化企業群
・第3ステージ:組織全体最適化企業群
・第4ステージ:起業・産業横断的企業群
ITの活用度合いを測る上では、次の2つの観点から見て行く事が必要です。
1. 段階的指標
(活用の巧拙によって、達成度合いが変わってくる事項)
2. 基礎的事項
(活用の巧拙いかんを問わず、ITを導入する上で必要となる基礎的な事項)
Ⅵ.IT活用に関する人材の育成
・段階的指標
第1ステージ
・経営層や社員のITスキル向上につながるような取り組みは特段行っていない
詳細には、以下の状態を指します。
◆経営層や社員のITスキル向上につながるような取り組みは特段行っていない。
あるいは行っている場合であっても不定期であり、次回の開催予定は定まっていない。
第2ステージ
・経営層や社員のIT活用能力を向上させるために、マニュアルの整備、研修会や啓蒙活動を行っている
詳細には、以下の状態を指します。
◆経営層や社員のIT活用能力を向上させるために、マニュアルを整備している。
◆経営層や社員のIT活用能力を向上させるための研修会や啓蒙活動を定期的に行っている。
第3ステージ
・経営層や社員のIT活用能力を向上させるために、マニュアルの整備、研修会や啓蒙活動を行っている
・ヘルプデスクなどの問い合わせ窓口を有している
詳細には、以下の状態を指します。
◆経営層や社員のIT活用能力を向上させるために、マニュアルを整備している。
◆経営層や社員のIT活用能力を向上させるための研修会や啓蒙活動を定期的に行っている。
◆経営層や社員のIT活用能力を向上させるために、ヘルプデスクの設置など、社内外を問わず疑問点についての問い合わせ窓口を用意している。
第4ステージ
・経営層や社員、連携先企業の共通システム担当者などのIT活用能力を向上させるために、マニュアルの整備、研修会や啓蒙活動を行っている
・ヘルプデスクなどの問い合わせ窓口を有している
詳細には、以下の状態を指します。
◆経営層や社員のIT活用能力を向上させるために、マニュアルを整備している。
◆経営層や社員のIT活用能力を向上させるための研修会や啓蒙活動を定期的に行っている。
◆経営層や社員のIT活用能力を向上させるために、ヘルプデスクの設置など、社内外を問わず疑問点についての問い合わせ窓口を用意している。
◆調達先や販売先など連携先企業との間で共通システムを使いこなすための研修会(共同開催も含む)を定期的に行っている。
・基礎的事項
・CIOもしくはCIO機能を担う人材に求められる要素と水準が明確になっている
・ITスキル標準などを用いてIT部門のスキルを客観的に把握する仕組みを有し、人事評価やキャリアパスとの連携が取れている
詳細には、以下の状態を指します。
◆CIO(CIOの機能を担う人材)に求められる要素と水準が明確になっている。
◆CIO(CIOの機能を担う人材)の育成プログラムがある。あるいは、将来のCIO候補をある程度絞ってキャリアを積ませている。
◆社内IT部門のミッション・職務機能・スキルミックス・責任分界を明確にしている。
◆ITスキル標準などを活用して、社内IT部門の社員の技術力・スキルを客観的・数量的に把握する仕組みを持っている。
◆社内IT部門の社員のスキルを外部の評価基準(第三者など)を参照して評価している。
◆社内IT部門の社員のスキル獲得は、人事評価やキャリアパスとリンクされている。
◆社内IT部門の社員に対して、経営戦略とIT戦略の関係について、CIO自らが定期的に説明している。
◆経営戦略及びIT戦略に沿って、自社IT部門の社員の採用計画(人数、スキル等を考慮)、採用方針を設定している。
◆自社IT部門の社員が、一定期間、IT利用部門に異動する仕組みがあり、IT利用部門の求めるニーズを把握したうえでITの活用方策を検討している。
◆社内IT部門の社員のスキル獲得のための教育プログラムを整備している。
◆自社IT部門の社員が新技術や不足するスキルを獲得するために、定期的に、社外のプログラムに参加したり、先進企業で研修を受けたりさせている。
人的資源制約の大きい中小企業では、本業でないIT人材の育成は難しく大きな課題となります。
経営者が、IT経営を実現するための戦略の一環として、必要なIT人材像を明確にして行く必要があります。
IT人材に対するスキルを明確に出して、CIOや経営トップへのキャリアパスを明示する事は、IT担当者のモチベーションを維持するのに必須となります。
また、全社的な情報リテラシーの向上や、外部のサービスデスク機能を上手く活用する事も対応策となります。
人材育成を含めた総合的なIT利活用能力の向上を支援して行くのも、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。
少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルについて、IT経営力指標と4つのステージの説明の途中で、終了します。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)
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