皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。
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ブログの第225回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。
これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回お伝えしましたが、ITコーディネータ協会のWebサイトに、ITコーディネータのキャッチフレーズとして、この様に書かれています。
「ITコーディネータは、IT経営を実現するプロフェッショナルです」
今回は、この「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
まずは、ITコーディネータ協会でなく、ITコーディネータ制度を作って、推進資格としている経済産業省の定義です。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)から、見て行きます。
URL:
https://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは
IT経営とは何か? 経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
ここに書かれている意味は、これまでずっとISACAの資料などで説明してきているGEITと、ほぼ同じ事だと思います。
次に現状と課題がこの様に、書かれています。
多くの企業では、経営、現業及びITの各領域が有機的連携をしない、若しくは、現業とITは好循環を維持しているが経営との間が分断している、などの悩みに直面しています。
経営とITの好循環確立に成功した企業を見ると、赤字化・合併等の事象を引き金に経営主導で取組を始めた例が多くなっています。
しかし、引き金となる材料を自発的に得られる企業は現実的には少なく、全体の底上げに向けた対策が急務です。
ITコーディネータ制度を作ったにもかかわらず、未だに全体の底上げに向けた対策が急務とは、情けないものがあります。
IT経営の動向
続けて、IT経営の動向として、各種統計調査に基づく結果が、以下の様に記載されています。
・IT投資マインドランキング
投資マインドランキングでは調査対象国の中で最下位となっており、このことは、保守運用等恒常的なIT投資は世界平均以上であっても、新規投資、戦略投資への意欲が世界でも著しく低いのではないかと考えられる。
国別IT投資マインドランキングで、以下のポイントになっています。
・インド:93
・米国:92
・オーストラリア:86
・シンガポール:47
・イタリア:41
・日本:30
これは日本の経営陣が、ITを戦略的に利活用できるという事を知らない、IT利活用に対するリテラシーの低さからくると思います。
・IT投資目的の日米比較
国別のIT投資マインドランキングの図で日本が最下位であると述べたが、IT投資によって期待する効果・目的の日米比較結果をみると、米国のIT投資は、顧客満足度、競争優位の獲得、売上げ増加、新規顧客獲得など「攻め」の投資が中心である。
これに対して、日本のIT投資は業務コスト削減、業務プロセス効率化、ペーパレスなど、どちらかといえば「守り」の投資が中心となっている。
・IT投資の対GDP比率
GDPに占めるIT投資の比率を世界各国と比較すると、米国に比べると1%以上低くなっている。
ただし、世界平均よりはやや高い状況である。
・日米のIT投資額比較
総務省が発表した日本と米国のIT投資額の比較を見ると、米国の投資額は近年大幅に増しており、日本のIT投資額も増加傾向にあるものの、この数年は両国の差は拡大傾向にある。
・日米韓のIT経営ステージ比較
◇日米韓企業のIT化ステージの動向
※ITステージについては、次回以降で詳しく説明します。
アンケート調査から判定した我が国企業のITステージの現状を表したものである。
各ステージの企業の割合は、ステージ1が13.3%、ステージ2が53.8%、ステージ3が27.1%、ステージ4が5.8%、となっており、我が国企業の大部分がステージ2に属していることがわかる。
このことから、我が国においてはITの活用が部門内で完結しており「部門の壁」を越えられず部分最適の状態である企業(ステージ2まで)が未だ7割弱となっており、全社最適やさらには企業の壁を越えて取引先なども含めた最適化を実現している「IT経営」実践企業(ステージ3以上)は全体の3割強であることがわかった。
企業のITステージの状況を、同時に調査を行った米国および韓国と比較すると、米国ではステージ3以上の企業が過半数を占めており、IT経営の実践が進んでいることがわかる。
従業員1,000人以上の企業別にステージをみると、ステージ3以上の企業が日本では55.2%、米国では71.0%、韓国では、62.9%であった。
◇日本におけるIT化ステージ別の売上高に対する営業利益率
営業利益の状況をみると、ステージが上がるにしたがって営業利益率が「10%以上」の企業の割合が増えるなど、全体に高いステージほど利益率が高くなる傾向がみられる。
◇日本におけるIT化ステージ別の労働生産性
労働生産性の状況をみると、ITステージが高いほど労働生産性(従業者1人あたりの売上高)が高くなっていることがわかる。
以上に書かれている事は、どちらかと言うと仕方なしに、保守・運用にはそこそこ金を使ってはいるが、30年前の部分的機械化や省力化と言う恐ろしく遅れた概念が、未だに蔓延っている結果だと言えます。
IT経営について
更に、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルについての説明の途中で、終了します。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)
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