皆さま、GEIT(Governance of Enterprise Information Technology)のエバンジェリストこと、ITコーディネータの元村憲一です。
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ブログの第245回目は、このブログの本題になっている GEITについての続きです。
これまでほとんどは、ISACAの話題を中心にお伝えして来ましたが、第210回目からは、ISACAを離れて、日本のGEIT人材であるITコーディネータについて、お伝えしています。
【IT経営とは?】
ITコーディネータ制度は、経済産業省が、日本の競争力を回復する高度人材として、未来を見据えた構想の中で制度化した割には、10年以上経った現在でも、非常に認知度が低い状態が続いています。
前回に続き「IT経営」と言う言葉につて、お伝えして行きます。
経済産業省のIT経営ポータル(以下を参照)
URL:
https://www.it-keiei.go.jp/index.html
IT経営とは何か?
経済産業省が行っているIT経営の定義は、以下の様に書かれています。
IT投資本来の効果を享受するためには、目的なく、単に現業をIT化するだけでは、不十分であり、自社のビジネスモデルを再確認したうえで、経営の視点を得ながら、業務とITとの橋渡しを行っていくことが重要です。
このような、経営・業務・ITの融合による企業価値の最大化を目指すことを「IT経営」と定義します。
IT経営について
IT経営ポータルには、IT経営についてとして、以下の5項目が記載されています。
・7つの機能と20の行動指針
・IT経営力指標と4つのステージ
・IT経営協議会とIT経営憲章
・IT経営ロードマップ
・各種報告書
・IT経営ロードマップ
【IT経営ロードマップとは】
IT経営憲章に基づき、企業がIT経営を実際に推進するにあたっての取り組みを、IT経営における先進企業の事例を踏まえて、以下の2点として整理したものです。
平成20年6月に初版が発行され、平成22年3月に改定版が発行されています。
1. IT経営の実践に向けた取組
2. マネジメント上の課題
【IT経営ロードマップの詳細】
2. マネジメント上の課題
「見える化」、「共有化」、「柔軟化」を推進し、IT経営を実現していくためには、並行して、マネジメント上の課題を解決していくことも不可欠です。
このため、IT経営の成熟度に関わらず解決すべきテーマとして、以下をマネジメント上対応すべき観点として位置付けています。
・ITガバナンス
・人材・組織育成
・IT投資
・人材・組織育成
◇定義
ここでの人材・組織育成の定義として、以下が書かれています。
IT経営の推進に向けて必要となる人材を育成・確保すると同時に、CIO配下に、IT経営推進の母体となる組織を構築することである。
具体的には以下のようなプロセスで構成される。
・自社のIT経営の成熟度に応じて、必要となる高度人材を特定する
・必要な高度人材を確保するために、社内(情報子会社を含む)の人材に対して、育成の仕組みを構築する
・現場と情報システム部門間の異動等を活性化させる
・社内で確保できない人材については、外部から調達することを検討する
・CIO配下に、IT経営推進組織を構築し、確保した高度人材を適宜アサインする
ごく当たり前の事が書かれていますが、現実問題として、各企業で実現困難となっているようです。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に公表されている、情報システムユーザースキル標準(UISS:Users’ Information Systems Skill Standards)等を活用するのが良いと考えられます。
◇現状と課題
現状と課題では、以下の2分類の視点から書かれています。
(1)現場の情報活用能力不足
(2)高度人材の不足
(1)現場の情報活用能力不足
現場部門の人材に、情報技術に対するリテラシーばかりでなく、情報そのものの活用能力が足りない、という声は多い。
情報システム部門についても、基本スキルである情報技術は別として、情報そのものの活用能力が重要であるという点は同様である。
決められた業務手順、与えられた情報システムに従うだけで、「情報をどう使うか」ということについて考えなくなってきているのではないか、という指摘されている。
・メインフレーム時代は、企業側もある程度データ設計等に関与していたが、パッケージ適用によってブラックボックス化し、全てベンダーに丸投げになった
・日常実施されている業務であっても、具体的な目的や手順・内容について、現場は書けないことも多い
(優秀な営業マンに「自分の営業プロセスを書け」と言ったら悪戦苦闘していた)
現場部門が、情報の活用の仕方を自ら考え、活用しながら、情報の持つ意味を発見し続けるような組織を作ることが、ある意味、IT経営の一つの究極のゴールでもある。
情報のオーナーシップを確立し、組織の中に、情報を媒介とした生産性向上の好循環を生み出すためにも、社員全般に対する情報活用リテラシーの向上は急務である。
また、こうした人材が、自ら進んで、業務モデリングをはじめ情報や業務の見える化を担っていくような組織なることができれば、ある意味理想的な状態である。
ITの高度化と共に、ベンダ依存が高まった結果、ベンダ丸投げ体質になってしまい、ユーザ企業側の能力不足が大きな問題になっています。
経営戦略を実現するための人的資源として、情報活用能を明確にした長期投資(=人材育成)が必須となります。
(2)高度人材の不足
高度人材の不足では、以下の2分類の視点から書かれています。
・CIOの育成・確保
・アーキテクト人材の不足
◆CIOの育成・確保
各企業ともに、優れた CIOの育成・確保は、重要な課題である。
CIOは、ITを手段として活用しつつ企業改革や業務改革をリードすることが重要であり、システム構築内容の詳細自体を決めることが主たる業務目的ではない。
このため、以下の様な、様々なタイプのCIO像が考えられ、それが故に、育成・確保に多くの企業が苦しんでいるのが実態である。
・技術的知見を背景にリードする
・経営企画に強い知見を背景にリードする
・調整力の高さでリードする
◆アーキテクト人材の不足
経営戦略を理解し、IT経営を実現するための「絵図面」を書き上げる機能を、「アーキテクト」という言葉で表現している場合が多い。
(新情報処理技術者試験で検討されている「ITストラテジスト」はこのイメージに近い)
また、日本経団連では、「ICTと経営との融合領域における人材育成」と表現されている。
一方、企業からは、「ビジネスアーキテクトとして、全体最適を実現するためのビジネスモデル全体について、事業会社とともに、収益向上のためのIT企画をできる人材」という定義もなされている。
なお、企業関係者からも、以下のような声が寄せられている。
・IT人材としてはアーキテクトが必要
・プロフェッショナルキャリアパスとしてIS/ITアーキテクトを設置
・アーキテクト職種へのキャリアパスを明確にする必要がある
CIOやアーキテクト人材等については、社内における教育だけでなく、外部からの人材採用等も同時に指向すべきであるが、なかなか人材そのものが見つからないという以下の様な声もある。
・外部人材利用に関する声
・外部の即戦力の採用も引き続き推進する
・ITパートナーにプロジェクトの上流工程から参画してもらい、戦略テーマの実現に向けて効果的なIT活用提案を行なえるように求めている
・社内だけでの人材育成では、環境変化に十分対応できないため、外部人材を積極的に活用する
・ユーザー部門プロジェクトへの外部コンサルタントの導入
・コンサルタントと一緒にチームを組んで業務改革を推進した
・人材不足に関する声
・自社のコアコンピタンスを理解し、必要に応じて外部の力も活用できるようなマネージャー級の人材は、意図的に育成しなければいけない
(経営者育成と同じ)
・CIOを支援するような人材が欲しいが、なかなか見つからない
・CIOをサポートする人材をどこかで斡旋してくれないか
・少人数の情報システム部ではどうしようもない
・外部からの確保が急務
これを読んでみると、ITコーディネータが支援する内容にピタリと一致すると考えられます。
情報活用能力、CIO、アーキテクト人材を支援する事も、IT経営を実現するプロフェッショナルと言われている、私達ITコーディネータに課せられた重要な使命の1つです。
少し長くなりましたので、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップの説明の途中で、終了します。
次回もこのシーズからは、経済産業省IT経営ポータルの、IT経営ロードマップの続きを説明して行きます。
この続きは、次回以降に、ITコーディネータ資格の変遷や、ITコーディネータのバイブルと言われるプロセスガイドラインの内容についても紹介して行きます。
最後まで、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
次回以降も、本題のGEITの話題として、ITコーディネータを中心に、ISACAが認定している資格の最新版が明らかになった段階で、順次お伝えして行きます。
皆さまからの、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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【資格】
・ITコーディネータ
・公認情報システム監査人
Certified Information Systems Auditor (CISA)
・公認情報セキュリティマネージャー
Certified Information Security Manager (CISM)
・公認ITガバナンス専門家
Certified in the Governance of Enterprise IT (CGEIT)
・Certified in Risk and Information Systems Control (CRISC)
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